後悔と裏切りの旅路


〜第1回 旅路〜


―――此処は東京にある私立中学校、風涼星学園(ふうりょうせいがくえん)だ。都内では進学校の1つで、中々発展が期待されている学校である。

その学校の校舎3階、右寄りの教室の3年C組。その教室でようやく同じクラスになる事ができた風上 洸を見ていた男子生徒――永峰 峠。

時は遡り2年前の春。全てが初めてで初々しかったあの時。この学校に入学したのは、家から近かったから他ならない。

永峰が初めて風上 洸に会ったのは、この中学校の入学式当日、体育館だった。冷めた表情で校長先生の話を聞いていた。

そんな話には特に興味を持てず、永峰は視線だけ動かして辺りを見回した。その時、1人の女子生徒が目に映った。

雰囲気的に何かを感じた永峰は、式の間、名前も知らない彼女を見つめていた。だが、思いもよらぬことが起きた。

式が終わりを迎える少し前に、何かの拍子に彼女がこちらを振り向いたのだ。彼女と目が合ってしまった。

永峰は心臓が一蹴されたような感覚を覚え、目を逸らした。もう1度横目で彼女を見たときにはもう、彼女は前を向いていた。

何故か心臓の鼓動が速まっている。これは単に、驚いたから鼓動が速まっただけではない、永峰はそう直感で感じていた。

永峰は元々冷めた性格だったので、女子に女としての好意を抱く事もなかった彼にとっては、この出来事は稀だったと言って良い。


それから式を終えた永峰達1年生は、各々の教室で自己紹介をしたり聞いたり、ホームルームを行った。永峰は、さっきの女子が頭から離れずにいた。

残念ながら、彼女は3クラスある中のA組だった。永峰は1年B組、確実に1年間その事実は変わりようがない。その点は諦めるしかないようだ。

しかし、彼女の名前や噂はすぐに永峰の耳にも入った。それだけ注目していた男子が多いという事だろう。“風上 洸”のことを。

あの時から永峰は風上 洸の事ばかりを考えるようになった。日に日に成長してく恋心は、確かに永峰の悩みの種になっていく。

違うクラスだとは言え、学年行動も少なくなかった。そんな時には風上とも少しは話して、良い関係を保つよう努力してきたつもりだった。

確かに今の今まで・・・

――あれから2年の歳月が流れ、永峰は今、こうしてほのかな恋心を抱きつつ、風上 洸を見ている。

今年も自己紹介やホームルームはあったが、あまり時間を取らずに終わった。窓の外の景色を一瞥した後、永峰は鞄を持ち上げ教室を後にした―――



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